
ABOUT
高校生だったある冬の日、子猫が迷い込んで来た。
家は動物を飼う事には全面的に反対で、私自身諦めからその子猫を迎え入れる気は更々なかった。(姉妹たちはどうだったのだろう)
しかし、どういう訳か動物禁止令発令者本人の父が飼ってもいいとゴーサインを出したのだった。
思えばその子猫にはそういう人の気持ちを動かす不思議な力があったのかも知れない。
子猫はシヴァと名付けられ家族となった。
獣医さんをはじめ、いつも誰かしらに顔立ちを褒めて貰える様なとてもハンサムなサバトラの男の子。
とても仲良しになった私は来る日も来る日も一緒に遊び、毎晩一緒に寝てかけがえのない時間を過ごした。
数年の時を過ごし、私が上京する日。
いつもマイペースなのにその日だけはずっとアスファルトの上に両足をきちんと揃えて座り、見えなくなるまで私を見送っていた。
もう簡単には会えない事を、同じ時間を過ごせない事を知っているかの様に。
私が思っていたよりずっと私の事を思ってくれていたのだと
喉の奥が熱くなり、一つ目の角を曲がる頃にはぽつんと座る小さな姿が滲んだ。
離れ離れになり数年、そして今は虹の橋を渡り数年。(最期は遠く離れた私に夢でお別れを告げに来た)
紆余曲折を経て一丁前にデザイナーをかたる田舎者をのんびりと眺めているだろうか。
独立し、屋号はすぐに決まった。
行くぞシヴァ。シンボルは君。
何でも描ける魔法のくれよんを抱えて一緒に冒険に出よう。
ねこのくれよんは、一人と一匹でマストを上げた。